こんにちは!最近デオキシス ディフェンスフォルムのなんとも言えない表情のぬいぐるみがSNS上で大変な話題になっていますね。
私も買おうと思っていたのですが、予想以上の人気で気付いたら売り切れてしまっていて涙を呑んでいます。
こんなにデオキシス人気が世間で盛り上がっているのはなかなか珍しいのではないでしょうか。
しかし、デオキシスというポケモンは、とあるゲーム界隈では「伝説」として語り継がれています。
それは2019年に惜しまれながらサービス終了をしたポケモンコマスターというオンラインボードゲームです。
ポケモンコマスターといえば「そういえばデオキシスやランクルスがヤバいって聞いたことあるなぁ」という人もいるかもしれないですが、その実態についてはコマスターをやった事がある人でないと解説を見てもよく分かっていないのが大半だと思います。
そこで今回はコマスターを知らない人にも分かりやすく、その性能の凶悪さと、どうしてバランス崩壊するほどの性能になってしまったのかについて解説していきたいと思います!是非最後まで読んで頂けると嬉しいです!
デオキシス最大の特徴であるフォルムチェンジの再現
デオキシスの特徴をまず一つ挙げるとしたら誰もがフォルムチェンジと答えるでしょう。しかし、本家ポケットモンスターのゲームではフォルムチェンジは出来るけれどもフィールド上のみで不便、バトル中は一つのフォルムしか使えないという残念な仕様になっています。
しかし、XYで猛威を振るったギルガルドの例を見るように、攻守に特化したフォルムの使い分けが自由にできるとあまりにも強力な性能になってしまうことを考慮するとこれも仕方がないかもしれません。
しかし、ポケモンコマスターではアニメでやっているような戦闘中のフォルムチェンジの完全再現を目指してしまったのです。
ポケモンコマスターはターン制のゲームなのですが、それぞれ自分のターンにポケモンのコマを動かしてバトルする相手を選ぶことができます。このバトルで勝利すると相手が気絶して相手の陣地に攻め込めるようになります。
この時、大抵は自分が有利を取れるポケモンに攻撃することになるのですが、デオキシスに対して攻撃した場合はどうなるかというと…
4種類あるフォルムのうち相手が一番有利なものを選んでバトルすることができるという異常事態が起こります。
このようなフォルムチェンジができる仕組みは「コスモエナジー」というデオキシス専用アイテムで、自分の持っている他のデオキシスと場所を交代することでフォルムチェンジを再現しています(なので厳密にはその個体自身がフォルムを変えているのではない)。
なお、この交代はベンチ(手持ちの控えと同じ)に居ても可能なので本家で言うならサザンガルドのような相性補完抜群なコンビをターンロスなしで交代して反撃しているのとほぼ同じ状態と言えます。
ただし、この交代が使えるのは相手から攻撃されたターンのみで、自分が攻撃するターンには発動しません。それでも、そもそもデオキシスの性能自体が高すぎるのでこれを弱点とは言えないのです。
役割に特化した強力すぎるフォルム達
本家でのデオキシスは4つのフォルムがそれぞれの役割に特化した能力を持っています。
HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早
アタック 50-180-20-180-20-150
ディフェンス 50-70-160-70-160-90
スピード 50-95-90-95-90-180
ノーマル 50-150-50-150-50-150 ←こいつのどこがノーマルなんだよ
コマスターでもこの能力を再現したかのような優秀な単体性能を持っています。
アタックフォルムは当時の環境では条件なしでのほぼ最高火力と言って良い水準の強力な技を持ちます。コマスターはルーレットで出た技の威力が高い方が勝つというシンプルなルールなので、アタックフォルムは高火力でありながら高耐久という性能となっているのです。
ただし、「じげんスリップ」というデメリット技も持っています。これはバトルを離脱してベンチに強制的に帰ってしまう技なのですが、ベンチからでも交代して場に出られる上、ベンチでは状態異常を治すことができるので場合によっては殆どデメリットにならないこともあります。
※余談ですがじげんスリップという技はMOTHERという名作ゲームの主人公が持っていて、その効果は戦闘から確定で離脱するというデオキシスと全く同じものです。何故そんな関係なさそうな古いゲームから技を引用しているのかというと、コマスターの生みの親である大山功一氏がMOTHERシリーズにも関わっているからという説が有力です。MOTHERにはスターマンというアタックフォルムにちょっと似た(?)宇宙人が登場し、その戦闘から逃げる為にじげんスリップをよく使います。
ディフェンスフォルムはかなり広範囲の防御技とカウンターを持ち、倒されないことに特化しています。防御技のサイコバリアーについては倒されずに場に残るだけなのですが、攻撃技は金技と呼ばれる所有者が少ない技を除き全て無効化します。
カウンターはバトル相手が出した技のダメージをほぼ全て無効化し、逆に相手を一撃で倒すというとんでもない効果となっております。例外的に威力20未満の技のみカウンターを突破することができますが、これを持つポケモンは非常に稀です。
これら特定の条件の技を持たないポケモンは約4%のミス(急所のようなもの)を引かない限り全て完封されます。
スピードフォルムは攻撃力は低いですが、最高クラスの移動力を持っています。コマスターはポケモン毎に1ターンで移動できる歩数が決まっています(ポケモン+ノブナガの野望と似たようなシステム)。普通のポケモンは1~3歩の範囲で設定されているのですが、スピードフォルムはベンチから出るターンに限り4歩移動できます。コマスターのフィールドは狭いのでこのアドバンテージは圧倒的に大きく、道を塞がれなければ1手で王手をかけることも可能になります。
そして、スピードフォルム自身の攻撃力は低くても、バトルをしかけるとアタックかディフェンスに交代されてしまうので、相手は自陣に入ってきたデオキシスをまともに倒すことが出来ません。
そして、最後にノーマルフォルムなのですが、こいつはハッキリ言って中途半端な攻撃力であまり強くないです。本家では劣化アタックフォルムで、僅かに耐久が高くてもどっち道紙耐久なので意味がないという性能なのですが、そんなところまで再現するのかよって感じですね。
単体では微妙な性能ですが、あまりにも完璧すぎるデオキシスデッキの数少ない弱点を補う為に採用されることがあります。まず一つは厄介な敵、ミュウの存在です。ミュウはディフェンスフォルムを倒せる金技でありながら、高火力技を無効化する強力な技を持ちます。つまり、アタックフォルムでもディフェンスフォルムでも相手をしずらい(正確にはアタックフォルムは若干有利ではある)のですが、ノーマルフォルムは火力が中途半端であるが故にミュウに有利を取れます。
また、あまりにもデオキシスが強力すぎた為に投入された対策ポケモンが何体かおり、その内の一体がボクレーです(何故ボクレー?)
ぼく、ボクレー。いたずらが好きです。
— 『ポケモンコマスター』公式ツイッター (@pokemoncomaster) April 14, 2017
エスパーポケモンに「もりのいたずらマーカー」をつけて、「エナジー」を無効にしちゃうぞ。 #ポケモンコマスター #ポケモン pic.twitter.com/McFW2ZmufO
ボクレーはバトルしたデオキシスをコスモエナジーの対象から外して交代できなくする能力を持っていて非常に優秀な対策ポケモンなのですが、このボクレーにノーマルフォルムは有利なのです。
単体では微妙でもピンポイント対策で採用できるほどデオキシスデッキのリソースには余裕があるということですね。
このように、コマスターのデオキシスは全てのフォルムを使い分けできるので実質的に50-180-160-180-160-180の種族値を持っていると言っても過言ではないのです。
しかも、コマスターにHPの概念はないので一撃で倒せないとHPは無限のようなものです。デオキシスとのバトルは常に超火力のアタックで上からワンパンされるか、超耐久のディフェンスで受けながらカウンターされるかという択になります。
ルーレットにも見られる運営の拘り
ここまでデオキシスのルーレットを見てきて気付いたことはないでしょうか?
どのフォルムも共通して両脇にミス、かわすというワザが配置されています。これはデオキシスの腕の色を再現しているという説がプレイヤーの間でまことしやかに語られています。そんなまさかと思うかもしれませんが、コマスター運営はルーレットの形にも何らかの意味を含ませていることが結構な頻度で見られます。
詳しく知りたい方は過去記事を読んでくれると嬉しいです。
そしてこのおまけ程度にあるかわすがポイントで、このおかげで多くの状態異常を対策することが出来ているのです。コマスターの状態異常はルーレットに影響を与えるのですが、例えば麻痺は一番小さいピースをミスに変化させる、混乱はルーレット結果が右にズレるなどです。しかし、消えてもあまり影響がない程度の狭さのかわすのお陰で麻痺はほぼ痛くないですし、混乱するとかわすが出る可能性が大幅に高まります。
このようにデオキシスは青い腕を持っているお陰で状態異常で対策することも難しくなっています。
まだまだある!デオキシスの特別扱い
デオキシスにとって宇宙人生で最もスポットが当たったのはやはり劇場版の裂空の訪問者デオキシスでしょう。そこではデオキシスが分身して大群で襲ってくるシーンが描かれています。
コマスターでは本来同じポケモンはデッキに3体までしか入れることが出来ないのですが、デオキシスは映画のあの恐怖を再現するためか、特別にデッキに最大の6体まで入れることが可能です。これによって、デッキをデオキシスだけで構成することで全員がコスモエナジーの恩恵を受け、相手はどこを攻撃しても不利になるという地獄の状況が完成してしまうのです。このような完全なデッキを使われてしまうと、それ以外のデッキは成すすべがありません。まともに動かせばミラーを除いた勝率は99%でも非現実な数字ではないでしょう。
ただし、実際の対戦では高レアリティのデオキシスを揃えている人はそこまで多くなく、不完全な数だったり(それでも圧倒的に強い)、なんとなくで使っていても勝ててしまうので下手くそなまま上がってきた初心者が上級者の必死の抵抗で倒される場合もありました。
デオキシスデッキ編成例
・AASSSD or AAASSD 王道。ASを多く編成してDを1体刺しておくのが基本。
・AASSDN ボクレー登場後はNを入れるパターンも増えた。
・AASSD自由枠 基本の5体が居ればまず隙はないので補完枠を入れるパターン。ここには通過能力が優秀なカゲボウズや金技が強いミュウ、サンダー、レックウザ辺りがよく採用された。
※余談ですが、レックウザは映画など各メディアでの因縁からか、エナジーを破壊する技を持っていて、運営の想定ではデオキシス対策になるはずだったのですが、実際はアタックフォルムの特性によってその技を発動できる可能性は非常に低くなっていました。それどころか、逆にデオキシス対策に実装されたエナジーを破壊するためにデオキシスデッキに投入されることがあり、一部のプレイヤーからは裏切り者と呼ばれていました。
結局何故壊れ性能になってしまったのか
ここまで語ってきたようにデオキシスには原作設定を再現したいという運営の拘りがこれでもかと詰め込まれています。
これはデオキシスに限ったことではないとはいえ、デオキシス実装が海外展開直後という運営的にも勝負どころの時期であったこと、特化したフォルムチェンジの使い分けという誰もが妄想するようなロマン設定などから、思い付いた要素を全て詰め込んでいった結果、バランス調整を忘れてしまったのではないか?という説が私の中で有力です(笑)。
4つのフォルムチェンジ、攻撃・防御・素早さに特化した能力、体の色、映画の設定など確かにデオキシスには再現したい魅力が沢山詰まっています。コマスターのバランス崩壊はデオキシス愛が強すぎる故に起きた悲劇だったのです。
ちなみにこの記事が更新された2/16はデオキシスが実装された日で、コマスター勢の間ではサービス開始日に並ぶ記念日となっています。是非みなさんもお祝いしてあげてくださいね!